電気自動車の潜在需要への懸念が高まる中、バンクオブアメリカ（Bank of America）はテスラ株の目標価格を大幅に引き下げた。今年に入ってから、この株の累計下落幅は31%に達した。
米銀が発表した最新報告書によると、同行はテスラ株に対する目標価格を220ドルに設定し、これまで設定した280ドル目標より21%大きく切り上げた。これはテスラの株価が現在の水準で28%上昇する余地があることを意味する。一方、同行は株式の「ニュートラル」格付けを維持している。
1週間前、テスラは第1四半期の納入量を発表したばかりで、ウォール街の予想をはるかに下回った。テスラは、ベルリン工場で火災が発生したことや、フリーモント工場の新型Model 3の生産量が低下したことなど、供給が遅れているとしているが、米銀は、市場の製品需要が低下していることが主な原因だと考えている。
同行は、「第1四半期に在庫が増加し、納入量が減少した主な駆動要因は、地域別の電気自動車需要の低下であるようだ。特に北米では2023年夏以降、電気自動車の販売台数はほぼ横ばいだった」と述べた。
米銀は、テスラは成長を加速させるためにラインナップを刷新するか、再び値下げを始める必要があると指摘した。
報告書は、「需要が低迷しているため、テスラはますます大きな利益圧力に直面すると考えている。テスラが新たな地域市場に参入しない限り、同社は既存のポートフォリオに頼ったり、さらに値下げせずにより多くの販売収入を生み出すことは難しいと考えている」と述べた。
「これにより、価格設定は需要を刺激する主要なてこになります（これまではこのてこの効果がよくなかったことに注意しています）。そのため、販売量の増加は依然として会社の重要な優先事項の一つであり、これはより多くの価格割引がある可能性があることを意味しています」とストラテジストたちは付け加えた。
最後に、米銀はテスラが直面しているリスクの1つとして、ディーラーネットワークに頼るのではなく消費者向けに直接販売することを指摘した。これは、上昇し続けている自動車在庫がテスラの帳面に記載されていることを意味し、在庫が空にならなければ、テスラに少なからぬストレスを与える可能性がある。
今年第1四半期、テスラの自動車生産台数は販売台数より46561台多かった。米銀は同社の在庫累計台数を約15万台と見積もっている。
「テスラがそれほど高い在庫水準を効率的に管理することは不可能だと考えている。量産車種が2024年に減産するリスクは実在する」と報告。