英国の反独占規制機関である競争市場庁(CMA)は10月5日、英国クラウドサービス市場の調査を開始すると発表しました。各方面の情報を総合すると、今回の調査の矛先は英国市場で重要な地位を占めるマイクロソフトのクラウド製品「Azure」とアマゾンのウェブサービス(AWS)に向けられています。

この調査は、英国通信庁(Ofcom)が2022年10月に英国のクラウド市場サービスに関する調査を開始し、2023年10月5日に254ページの最終報告書を発表したことに関連しています。
クラウドコンピューティングはデジタル経済の下で多くの企業にとって重要になり、企業が人々にデジタルサービスを提供する方式を変えました。このうち、クラウドサービスプロバイダは、世界中のデータセンターを使って、ソフトウェアやストレージ、ネットワークなどのサービスへのリモートアクセスを企業に提供しています。
英国におけるクラウドサービスのシェアを調査しました
Ofcomの推定によると、2022年のイギリスのクラウドサービス市場の価値は75億ポンドに達します。なかでもアマゾンのAWSとマイクロソフトのAzureは、英国クラウド市場の「ビッグ2」と呼ばれ、共同で70 ~ 80%のシェアを占めています。3位のグーグルクラウドサービスは5 ~ 10%の間です。クラウド顧客のほとんどは、これらの大企業のクラウドサービスを利用しています。
Ofcomによると,顧客企業には高いデータ転送料金,約束された割引,切り替えの技術的な障壁があるという。コントロールしなければ、英国経済のキーとなるデジタル市場での競争が悪化する可能性があります。
「いくつかの英国企業は、複数のクラウドプロバイダを変更したり、利用したりするのは困難だと懸念していると伝えてきました」Ofcomのマーケティングリサーチ担当ディレクターであるFergal Farragher氏は、「そのため、私たちは、顧客企業がクラウドサービスの恩恵を受け続けることを確実にするために、さらなる審査のために市場をCMAに提出します」と述べている。
CMAはOfcomのこの動きを歓迎し、75億ポンドのイギリス市場での効果的な競争は極めて重要だと述べました。
CMAの最高経営責任者であるサラ・カーデル氏は、ソーシャルメディアからaiベースモデルまでのオンラインサービスを完全にサポートする75億ポンドの市場であるパブリッククラウドのインフラサービスを徹底的に調査するようOfcomが提案したことを歓迎します。多くの企業がクラウドに依存するようになった現在、この市場での効率的な競争は非常に重要になっています。
現在CMAの独立した調査チームは、クラウドサービス市場の競争が良好であるかどうか、また競争が損なわれた場合に問題を解決するためにどのようなアクションを取るべきかを調査しています。CMAの市場調査には18ヶ月かかる見込みで、法定期限は2025年4月4日です。
これについてマイクロソフトは声明で、「英国のクラウド産業が革新的で、高い競争力を持ち、経済成長全体のアクセラレーターを維持することに注力しています」とコメントしている。「CMAがクラウドサービスの市場調査を行う際、建設的に協力します」
アマゾンは、「Ofcomの調査結果は、IT部門がどのように機能しているか、提供されているサービスや割引についての根本的な誤解に基づいている」とし、「いかなる無理な介入も、IT顧客や競争に思わぬ損害を与える可能性がある」と主張しています。しかしアマゾンもCMAとの建設的な提携を表明しています。