パキスタン競争委員会（CCP）はこのほど、サウジアラビアの商業大手Asyad Holding Groupがアラブ首長国連邦の完全子会社Wafi Energy Holding Limitedを通じて、シェル・パキスタン有限会社の77.42%の株式買収に成功し、同社の制御権を獲得したと発表した。
CCPによると、「2010年競争法」第11条に基づき、パキスタンの小売石油業界の発展を促進するために今回の買収を承認した。
シェル石油は2023年6月にパキスタン市場からの撤退を発表し、パキスタン事業の株式77.42%をWafi Energyに売却した。この決定は、シェルが世界的な事業調整を何度も発表したことと、シェル・パキスタンが2022年に為替レートの変動、パキスタンのルピー安、売掛金の期限切れにより損失を受けたことを受けて行われた。
この取引は少なくとも1年の過程を経ている。最終的に取引を完全に完了するには約2カ月かかり、潤滑油事業の株式は切り離されるが、シェルブランドはパキスタン市場で影響力を維持するだろう。
シェルパキスタン有限会社はパキスタン証券取引所の上場会社として、自動車燃料と潤滑油の小売供給分野で膨大な業務ネットワークを持っている。シェルパキスタンの事業は、600を超えるガソリンスタンド、10の燃料ターミナル、1つの潤滑油調合所、およびPak-Arab Pipeline Company Limitedの株式の26%をカバーしている。
Wafi Energyはサウジアラビアの燃料小売業者Asyad Holding Groupがパキスタンでの投資版図拡大のために設立した完全子会社で、サウジアラビアのガソリンスタンドの管理と運営に焦点を当てている。
CCPはその初期評価段階で小売燃料、車両潤滑油、工業潤滑油を関連製品市場として確定し、シェルパキスタンはこの3つの市場でいずれも独特のシェアを占めているが、取引後もこのシェアは変わらないと指摘した。CCP分析の結果、Wafi Energy Holding Limitedがシェル・パキスタンの直接制御権を獲得しても、関連市場で主導的な地位を占めることはないことが確認された。
CCP主席のKabir Ahmed Sidhu博士は承認令に署名した際、この発展は小売燃料サプライチェーンのサービス基準を向上させ、市場競争をさらに促進し、パキスタン市場の繁栄に重要な貢献をすることが期待されると述べた。今回の買収は、パキスタンのエネルギー市場におけるAsyad Holding Groupの深い配置を示すだけでなく、パキスタンの小売石油業界が新たな競争構図を迎えることを予告している。